眼鏡をかければすぐに視界が変わるように、補聴器をつければすぐに聞こえるようになる、というのは大きな誤解のようです。「実は補聴器は装用してすぐによく聞こえるようになるわけではないのです。使いこなすにはトレーニングが必要で、初期調整に通常3か月程度の時間がかかります」と新田先生は説明します。
「特に耳の聞こえない状態が長く続くと脳が静かな環境に慣れているため、十分な調整なしで補聴器を使用すると、急に入ってくる音に不快感や違和感を覚えます。結果、補聴器を使うことをやめてしまい、難聴をそのまま放置してしまうことが起こりがちです。
補聴器の使い始めは聞こえる環境に慣れていくように、まず音への脳のトレーニングが大切です。補聴器を常に装用して少しずつ音量を上げてトレーニングをすることで、聞こえていた頃の脳に戻っていきます。
また調整が適切かを確認するために、補聴器を装用した状態でどのぐらいの音やことばが聞き取れるかを確かめる検査(補聴器適合検査)を必ず行いましょう。これは眼鏡で言う矯正視力に当たるものですが、この結果が適切であることを確認してから補聴器を購入しましょう。」とアドバイスします。